小径自転車、アレックス・モールトンのあるサイクリング・ライフ&オリジナルグッズをご紹介しています。


hideちゃん号が盗まれた後、私が乗ることになったプジョーのクロスバイクです。
なぜ「まぐろの広政号」なのかと言うと、大阪ドームにほど近い行きつけの居酒屋さん「まぐろの広政」の店主から譲っていただいたからです。

「まいど〜!今日はどう?勝ったぁ?」とおかみさんが店先で声を掛けてくれる。「負けました!」と大澤は苦笑して答える。「生二つください!あと、赤身のブツください」と負けをかみしめながら、マグロを肴に一杯やる・・・。
 本気の野球ファン、しかも近鉄バファローズファンってやつは、結構、辛いものがあるのです。比較的、弱いチームを応援したことのある方なら、ご理解いただけるでしょうか?おまけに本気なのでシーズン中、ホームゲームを見逃すだなんてファンとしてあるまじき失態!私たちは仕事が忙しくても、やりくりして大阪ドームに自転車で通いつめていました。最下位も、リーグ優勝も、日本シリーズでの大敗も、そして突然、球団が無くなってしまうまで、私と大澤の野球人生二人三脚は続いていました。

で、その日の夜も、試合を終えていつものように「まぐろの広政」へと直行。勝った?負けた?とお決まりのやりとりをして一杯やっていたら、店の外から帰ってきたおかみさんが「あれぇ〜?自転車1台しかないやん」と不思議顔。「盗まれちゃってんな」と大澤が答え、横でウンウンと頷く私。

え〜!ケイコちゃんの自転車、可愛かったのになぁ・・・」とカウンターの旦那さんが、まな板から顔を上げて渋い顔。そうです!hideちゃん号、可愛かったのです・・・自転車盗むのは止めてください。
 「ほな、二人乗りしてきたん?荷台も無いし、不便やんなぁ・・・」とおかみさん。
 そうなのです!自転車は大澤のAPB1台しかなくなってしまい、私は後輪近くのフレームにスニーカーをひっかけて、立ち乗りしていたのでした。これは、かなり不便かつ危険です。

「毎日、どこに行くのも困ってるんです」と私は答えて、ルビーのようにキラキラと輝くマグロを頬ばっていました。すると、ひと仕事を終えて包丁を置いた旦那さんから信じられない一言が発せられました。
 「ボクね、めぇっちゃイイ自転車持ってるねん!そやけど、勿体なくて乗ってないねん。変速ギアいっぱいついててな。プジョーっていう自転車、知ってる?」
 「あぁ、知ってますよ〜」と大澤。
 「譲ったろか?ケイコちゃんやし、安くしてあげるよ!」
 「マジですか?おおお!良かったやんけ〜!譲って貰えよ!」と私の肩をポーンとたたく大澤。

万事が決定し数日後のお昼、私は「まぐろの広政」さんに自転車を譲ってもらいに行きました。お金を手渡すと「一応、領収書だしとくわね」とおかみさんが領収書をくれました。金3万円領収(自転車代として)と書かれた紙には「まぐろの広政」のハンコが・・・。これは、結構、笑えました。プジョーなだけに・・・フランス人もびっくりですな。

「気を付けて乗ってね!」と手を振るおかみさんに頭を下げて、プジョーに跨りました。「デッ、デカイ!」今まで何年も小径に乗っていたのだから、その違和感は絶大です。「よっ、よいしょ!」っとペダルを踏み込んだ時、フレームがグーンと前に進みました。「うわぁ、めっちゃ進む!」と私は調子に乗って、力いっぱいペダルを踏み続けました。「おおお!パパチャリって、すごーい!」という感じでグングン前進。さらに変速なんて24段も付いているのです。どこをどう使ったらいいのでしょう?でも、hideちゃん号と違って「広政号」はビュンビュン進むのでした。ヤッホー。

 夜、仕事を終えた大澤が帰ってきて、玄関前にAPBとプジョーの2台が並びました。家の前の道路でギアの変速性を確かめた後、ヒューンというほどの高速で辺りを一周してきた大澤は「うーん。まぁまぁやな。3万円は安い!」と広政号を査定した後、にっこり笑いました。

「まぁ、しばらく乗ってみたら?」と大澤。
 「うん。でも、の方が小さいのに、自転車めっちゃ大きい
 「でも、自転車ないのは不便でしょ・・・」
 自転車が凸凹コンビになってしまったけど、それもまぁいいかと思いました。

「見た目もカッコいいし。プジョーだしね!」と私もすぐに納得して、翌日から広政号で近所をビュンビュン走り出しました。当然だけど前のhideちゃん号とはまったく違って、身体が自転車についていく感じが心地よく思えました。ありがとう「まぐろの広政」さん!
 


次回予告
vol.4 モールトンがやってきた!
いよいよ私もモールトニアに?乞うご期待です!!