小径自転車、アレックス・モールトンのあるサイクリング・ライフ&オリジナルグッズをご紹介しています。


ある夜、家に帰ってきたら、リビングに白いゲイラカイトの骨みたいなのが置かれていました。「なぁに?これ?」と、異様な物体に私も2匹の猫も不思議顔。しばらくして大澤が帰ってきたので尋ねてみたところ「自転車」と回答。よく見てみると、ちょっと小さいけど確かにAPBのフレームに似ています。「ふ〜ん」とか思いながら、夕食の支度。
 しかし、この夜以降、私たちの日常に大きな変化が起こりました。仕事終わって、家に帰ってきて、晩ご飯食べて・・・。ここまでは普通のご家庭と同じお茶の間なんだけど、その後の行動がちょっと特異なことになりました。

「さて、やるか・・・」という大澤の一言により、リビングのど真ん中に自転車が配置され、今日はクランク、明日はサスペンション、そして明後日はスプロケットという具合に日々作業が進められていくことに。
 「家のなかに自転車」という事態、しかも「リビング」という特等席的スポットに自転車という状況に、我が家の2匹の猫たちは「何なの?こいつ?ちょっと、説明してちょうだい!」と最初かなり怒っていたけど、しばらくすると慣れたのか、ブレーキのケーブルを「ちょい!ちょい!」っといじって遊んだりするほどに仲良くなってくれました。

ちなみにうちの晩ご飯って、すごく遅い時間からスタートするので、食べ終わったらだいたい深夜12時ぐらい。それから自転車工場に早変わりする訳だから、少しは工夫しないとなんか嫌いになっちゃいそう・・・。だって、疲れてるし、ソファーでワインなど飲みながらゴロゴロしたいし・・・。

そこで私は、考えました!それは、自転車がリビングでカッコよく見える、照明テクニック!まるでバーのように、照明を少し暗めにしてしまうのです。そして、フレームの影が床に映るようにすると、雰囲気いいんですよね、これが。
 あと、決して忘れてはならないのがBGM!どーいうサウンドが合うのかな?と80年代ディスコ、ロック、ジャズ、クラシックまでいろいろ試したけど、一番しっくりきたのはエリック・クラプトン様のアンプラグドでした。
 少し暗いリビングに、ふわっと浮かぶトラスフレームのシルエット、そして渋いギターと歌声がとぉってもマッチして、まるでニューヨークの隠れ家的バーにやってきたような気分に・・・。と、バカな事を書いていますが、自転車の組み上げという作業が、素敵な大人の趣味に思えてくるから不思議です。

そして約1ヶ月後、大澤の愛車AM7が誕生!オールドタイプのカンパをコーディネイトしたAM7は、ヨーロッパのおじいさん的な可愛らしさと風格を兼ね備えた自転車になりました。

AM7ができあがって、すごく嬉しかったけど「いいな・・・。自分だけ2台も・・・」と少々、引っかかりました。「マグロの広政号」も決して悪くないけど、二人で走ってると自転車のスタイルが合わないし・・・。やっぱり私も自分でモールトンを買おうかな?と思っていたら、今度はリビングに赤いゲイラカイトの骨みたいなのが置かれていました。
 「うわぁ!自転車や!しかも赤や!」今度は、一瞬で分かりましたとも!これは、どう考えても絶対的に私のものに違いない!!!

そしてまたしても、我が家のリビングは自転車工場に・・・。数日後、大澤に「どんなハンドルがいいか?」と聞かれましたが、私はチンプンカンプン。そこで、いきなりドロップハンドルは怖くて無理だろうから、乗りやすいフラットバーハンドルに、ダイヤコンペというメーカーのオポジットレバーを付けることになりました。古いレバーだし、どこで買えるかを思案した結果「トモダ」という玉造の自転車屋さんに電話して在庫を確認。

  「ありますよ!」の即答に「さすが、トモダやな・・・」とニンマリ顔の大澤。この自転車屋さんはかなりの老舗で、昔、大澤がマウンテンに乗っていた頃に通い詰めていたそう。
 「とにかくカタログがすごいねん!」とやや興奮した大澤は、古いサイスポをペラペラッと。そして、全ての商品が精密な手書きのイラストで描かれている広告を私に見せてくれました。そのイラストはまるで、妹尾河童さんのようなタッチで本当にお上手!お見事!年に一度、オリジナルのカタログが発表されるらしく、すべての商品がこの年季の入ったイラストで描かれているらしい。

そして、大澤がAM7に乗り、私はAPBに乗ってオポジットレバーを買いに・・・。その夜、早速ハンドルを付けて、私のAM16が完成したのでした。
 「さて、モールトニアさん。どこに走りに行きましょうか?」と大澤。そっかぁ〜、私も今日からモールトニアなのか・・・。どこに行こう?どこを走ろう?明日、とにかく会社まで走ってみようかな?

赤と白、玄関先に仲良く並ぶ2台のモールトン。こうして私たちは、やっとの同じ17インチの自転車で、走り出したのでした。


大澤がトモダさんのイラストタッチを思い出しながら描きました。


次回予告
vol.5 海へ。
海を目指して、走り出した私たち・・・。乞うご期待です。